バイクのメンテナンスをする際に、チェーン掃除の頻度はどのくらいが目安か悩む方も多いのではないでしょうか。バイクのチェーン掃除の頻度は、500km〜1,000km毎が目安とされており、チェーンの種類によっても掃除の頻度に違いがあります。
本記事では、バイクのチェーン掃除の頻度について解説します。チェーン掃除のやり方や注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
バイクのチェーン掃除の頻度は500km〜1,000kmが目安

バイクのチェーン掃除の頻度は、500km〜1,000km毎を目安にしましょう。500kmくらい走行するとチェーンに汚れが溜まり、潤滑油の劣化が見られるためです。
チェーンの種類がノンシールチェーンの場合、一般的な掃除・注油の頻度は500km毎が目安とされています。一方で、シールチェーンの注油頻度は、ノンシールチェーンと比較して少ないですが、チェーンを良好な状態に維持するためにも掃除は500km〜1,000km毎におこないましょう。
バイクのチェーンは外に露出しており、鉄粉や砂埃の汚れが溜まりやすく、雨によりサビが生じやすい特徴があります。場合によっては、耐久性を損ねたり動作不良を招く原因にもなるので、安全にバイクを楽しむためにも定期的なチェーンの掃除・注油は欠かせません。
500km〜1,000km毎に掃除をおこなうには、目安の距離を走る日数を確認して、定期的にメンテナンスする日を設けるとタイミングがわかりやすいです。
チェーン掃除をするべきタイミング

走行距離以外にもチェーン掃除の目安となるタイミングがあります。チェーンの掃除をするタイミングは、以下の通りです。
- 雨天時の走行後
- 長期保管後
- 油切れの症状を感じた場合
具体的に確認しましょう。
雨天時の走行後
雨天時の走行後は、チェーンにサビが発生しやすいです。バイクのチェーンの鋼材は耐久性に優れる反面、サビを生じやすい特徴があります。
雨で濡れた路面をバイクで走ると、チェーンの潤滑油が流れ落ちやすくなります。チェーンオイルの油膜がない状態で放置してしまうと、酸性雨の影響でサビを生じやすく金属部品の耐久性が落ちやすいです。
また、泥水を跳ねて車体やチェーンに汚れが付着すると、チェーンやスプロケットにゴミや砂埃が挟まり摩耗が激しくなるため、寿命を縮める原因になります。
雨天後と同様に、洗車後もチェーンが濡れて潤滑油が落ちやすいです。車体を洗車したら、チェーンの掃除・注油もセットでおこなうとバイクの良好な状態が長持ちします。
長期保管後
バイクを長期保管して再び走行する際は、事前にチェーンの掃除をおこないましょう。チェーンオイルが劣化していると、動作不良を起こしやすくなりリスクの高い状態です。
長期保管したバイクは、潤滑油の劣化や埃が付着して潤滑性能が低下している場合があります。とくに、冬場はバイクを車庫で眠らせておくケースが多く、低温の環境下ではオイルの粘度が変化してチェーンが固着しやすくなります。
また、潤滑油の乾燥から、湿気によるサビが進行している場合があり、走行に問題ないかを確認しておく必要もあるでしょう。
長期保管後にチェーンを確認する際に、見た目には劣化がわかりにくい場合もあります。しかし潤滑油の粘度の変化など目に見えにくい異常が進んでいることもあるため、念のために掃除・注油をしておくと安心です。
油切れの症状を感じた場合
走行時にチェーンの油切れの症状を感じたら、早急に掃除・注油をおこないましょう。油切れしたまま走行を続けると、チェーンとスプロケットの摩耗が激しくなりトラブルの原因になります。
チェーンの油切れの症状は、主に以下の通りです。
- チェーンの異音がする
- チェーンが伸びる
- 動作不良が目立つ
とくに、走行中に気づきやすいポイントは、チェーンの軋みによるギシギシ音でしょう。油切れにより金属摩擦が強くなると異常な発熱を生じる場合もあります。摩擦により金属部品の表面にザラつきが発生すると、掃除・注油を施しても油膜の形成がしにくくなりチェーンの寿命が縮むため、早期の発見が重要です。
また、油切れの症状を見逃してしまうと、チェーンが伸びてしまい最悪の場合は脱落してしまいます。走行中にチェーンが脱落すると重大な事故の原因となるので、ツーリング前にはチェーンの状態を確認する習慣をつけましょう。
バイクのチェーン掃除に用意するもの

バイクのチェーン掃除をおこなう前に、必要なものを用意しましょう。チェーンの掃除・注油に必要なものは、以下が挙げられます。
用意するもの | 用途 |
---|---|
メンテナンススタンド | 後輪を上げるために使用します |
チェーンクリーナー | チェーンの油汚れやゴミを洗浄します |
チェーンブラシ | チェーンを挟むように効率よくブラッシングできます |
チェーンオイル | チェーンを保護・潤滑します。迷ったらシールチェーン用が無難です |
ウエス | 余分なチェーンオイルを拭い取ります |
新聞紙 | 地面が油で汚れないように養生します |
軍手 | 手のケガを防ぎます |
メンテナンススタンドは、センタースタンドのあるバイクであれば後輪を上げられるため不要です。また、ウエスはチェーン掃除で落ちてくる汚れを受けたり、余分な潤滑油を拭ったりする際に使用するため、使い捨てできる古い布やペーパーウエスを用意しましょう。
チェーン掃除のやり方

チェーン掃除のやり方は、以下の手順でおこないます。
- スタンドで後輪を上げる
- チェーンを洗浄する
- チェーンオイルを注油する
具体的に確認しましょう。
スタンドで後輪を上げる
バイクのチェーン掃除をおこなうには、後輪を浮かせてチェーンを回転させる必要があります。メンテナンススタンドを使用して、安全にバイクを立てましょう。
まず、チェーン掃除による汚れ対策のために、地面に新聞紙を敷きます。新聞紙の上にバイクを移動したら、メンテナンススタンドやセンタースタンドで後輪を浮かしましょう。
チェーンを掃除する際は、チェーンクリーナーやチェーンブラシによりバイク本体に汚れが飛び散るため、ウエスや段ボールなどで車体を養生します。
また、予算に余裕がある場合、メンテナンススタンドはジャッキタイプがおすすめです。用途の幅が広く、チェーン掃除以外のメンテナンスにも活躍します。
チェーンを洗浄する
スタンドで後輪を上げたら、いよいよチェーンの掃除に進みます。泥や砂埃による汚れが目立つ場合は、事前に水で洗い流しておくと良いでしょう。
チェーンの汚れを落とすには、チェーンクリーナーを使用します。クリーナーを吹き付ける際は、チェーン全体にいき渡らせるようにゆっくり後輪を回しましょう。チェーンにクリーナーが馴染むまで少し待ったら、固着した汚れをチェーンブラシで磨き落とします。ブラッシングが終わったら、ウエスでチェーンの汚れを拭いとり掃除は完了です。
注意点として、チェーンを掃除する際に、強くブラッシングするのは避けましょう。ブラシで強くこするとOリングのシールに傷が入り、封入しているオイルが漏れる原因になります。チェーンブラシは小刻みに優しくブラッシングするのが適切です。
また、チェーン掃除の際は、チェーンとスプロケットに指を挟むと怪我に繋がります。必ず軍手など丈夫な手袋を用意し、十分に注意しながら作業をおこないましょう。
チェーンオイルを注油する
チェーンを掃除したらチェーンオイルなど専用の潤滑油を注油します。オイルの塗りむらを残さないのがポイントです。
チェーンオイルには、金属摩擦の軽減や油膜でサビを予防する目的があり、塗りむらがあると十分に役割を発揮できません。オイルを吹き付ける際は、ゆっくりとチェーンに馴染ませるようにおこないましょう。
また、コツとしてチェーンの内側からチェーンオイルを吹き付けると、走行時に遠心力がかかりチェーンの外側へ馴染むので塗りむらが少ないです。
注意点として、タイヤにチェーンオイルが付着するとタイヤのグリップ力が損なわれて事故の原因になります。チェーンへの注油ができたら、走行時にオイルが飛び散らないようにウエスで余分なオイルを拭き取りましょう。
チェーン掃除の注意点

チェーン掃除の注意点は、以下の通りです。
- クリーナーや潤滑油は専用のものを使う
- チェーンの伸びや摩耗をチェックする
具体的に確認しましょう。
クリーナーや潤滑油は専用のものを使う
クリーナーや潤滑油は専用のものを使用しましょう。それぞれ用途に応じて役割が違うため、間違ったものを使用すると逆にチェーンを痛める原因になります。
チェーン掃除の際は、パーツクリーナーでなくチェーンクリーナーを使用しましょう。パーツクリーナーは、アルコール系で油分を落とす用途に使用しますが、チェーンの汚れを落とすのには向いていません。また、シールチェーンにパーツクリーナーを使用するとゴム素材のシールを痛めやすく、中に封入している潤滑油が漏れてしまいます。
また、チェーンオイルは、専用のもの以外のオイルを代用すると、シールを痛めたり粘度の低さから走行中に飛び散って車体に汚れが付着します。オイルが飛び散りそのまま乾燥すると、金属の摩耗が激しくなりチェーンの寿命を縮めやすいです。
灯油でチェーンを洗浄する方法は、主にノンシールチェーンで見られる方法ですが基本的には避けましょう。完全に脱脂しないと、灯油で溶けたオイルが走行時の回転により飛び散ってしまい、バイクが汚れてしまいます。シールチェーンに使用すると、シールで封入したオイルに灯油が入り込み、漏れ出てしまうためチェーンに悪影響です。
チェーンの伸びや摩耗をチェックする
チェーン掃除の際は、伸びや摩耗の具合もチェックしましょう。定期的にチェーンの状態を確認するとバイクのトラブルを未然に防げます。
伸びをチェックをするには、まずバイクをスタンドで立てて、チェーンの中央部を上下に押してみましょう。一般的に3cm以上動く場合は伸びていると判断しますが、チェーン付近に貼っているラベルや説明書に正式な規定が表記しているため、規定内であるかを確認します。
また、チェーンの寿命を確認する際に、スプロケット後部のチェーンを引っ張る方法があります。通常のチェーンであれば動きませんが、交換時期の近い伸びきったチェーンは動いてしまうので目安にしましょう。
チェーンの異常を疑う場合は、自己判断をせずバイク屋さんへ相談するのをおすすめします。車種によって適切なメンテナンス方法やチェック基準があるため、専門家に依頼すると安心です。
バイクのチェーン掃除をしないリスク

バイクのチェーン掃除をしないリスクは、以下が挙げられます。
- チェーンが伸びやすくなる
- チェーンがサビやすくなる
具体的に確認しましょう。
チェーンが伸びやすくなる
汚れの付着や油切れ状態のチェーンは、摩耗が激しくなり伸びやすいです。チェーンが伸びるとスプロケットとの噛み合わせが悪くなり、最悪の場合はチェーンが脱落します。
チェーンの伸びは、ブッシュ部分とピン部分が摩耗して生じます。シールチェーンであればOリングのシール内にチェーンオイルを封入しており、ブッシュとピンの摩擦は少ないです。
しかし、チェーン掃除を怠るとオイルが減少して金属が著しく摩耗するため、チェーンが伸びてスプロケットとの噛み合わせが悪くなります。とくにジャラジャラ音が鳴xると伸びが進行しているサインなので早期の発見が重要です。
また、ギアチェンジ時のショックが大きい場合もチェーンの伸びを疑うサインです。走行中に違和感を感じたら、安全な場所にバイクを止めてチェーンの張り具合に問題がないかを確認してみましょう。
チェーンがサビやすくなる
定期的なチェーン掃除を怠ると、サビの進行が早いです。サビで劣化したチェーンは耐久性が落ちるため、事故のリスクも考えられます。
バイクのチェーンにサビが生じる原因は、雨や湿気です。通常であれば潤滑油の油膜に守られており、水分を遮断していますが、メンテナンスを怠るとチェーンオイルが乾燥してしまいサビを発生させます。
一方で、しっかりチェーンオイルを施したのに表面に浮いているサビは問題ありません。走行中に付着した鉄粉などの汚れがサビているだけで、ウエスで拭うと簡単に落ちるのが特徴です。チェーン自体は油膜で保護されているため、定期的にメンテナンスをおこなえばサビは進行しません。
まとめ

今回は、バイクのチェーン掃除の頻度について解説しました。バイクのチェーン掃除は、500km〜1,000kmが目安です。
ノンシールチェーンの場合、掃除の頻度は500km毎が目安とされています。一方で、シールチェーンは、シール内にチェーンオイルが封入しているので少ない掃除の頻度でも状態を維持できます。
また、走行距離以外にもチェーン掃除をするべきタイミングがあり、以下の通りです。
- 雨天時の走行後
- 長期保管後
- 油切れの症状を感じた場合
バイクのチェーン掃除は、必要なものを揃えたうえで、以下の手順でおこないます。
- スタンドで後輪を上げる
- チェーンを洗浄する
- チェーンオイルを注油する
チェーンには専用のクリーナーや潤滑油があり、適切なものを使用しないと返って状態が悪くなる場合もあるため注意が必要です。
ぜひ、本記事を参考にして、バイクのチェーン掃除をおこないましょう。